法務改革が進まない企業に共通する“構造的な壁”とは

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「法務の業務改善を進めたいが、実行に移すのが難しい」

そんな声を多くの企業で耳にします。
契約書のひな形化、レビュー体制の見直し、事業部への権限委譲、DXツールの導入など、やるべきことの方向性は見えているにもかかわらず、いざ動かそうとしてもなかなか進められず、時間だけが過ぎてしまう……。

なぜ、法務改革は停滞してしまうのでしょうか。

改善の“設計図”があっても、実行する余力がない

多くの企業では法務の業務改善のために「何をしたいか」は明確であることが多いです。
たとえば、以下のようなものがあります。

  • 契約書ひな形の整備と運用ルールの統一
  • 決裁・調印フローの電子化
  • 契約審査業務の一部事業部移管

こうした構想は方向性として正しいことが多いのですが、問題は“実行に移す力”の不足です。
法務担当者は通常業務で手一杯であり、業務改善のためにロードマップを描いたり、進行をモニタリングしたりする余裕がありません。
その結果、構想だけが残り、実行が後回しになってしまいがちです。

業務改善には推進力が不可欠

法務業務の改善は、決して複雑な取り組みではありません。必要なのは、地道な業務の棚卸し・ルール整備・関係部門との調整です。

しかし、これらを日々の業務と並行して進めるには、推進力が欠かせません。多くの法務部では、この推進力を確保できずに立ち止まってしまいます。

改善が進まないのは「やり方がわからない」からではなく、「進める余力がない」からなのです。

改革を動かすのは“人”ではなく“仕組み”

では、限られたリソースでどう進めるべきか。鍵となるのは、個人の頑張りに頼らない進行設計です。

たとえば、以下のようなものがあります。

  • 改善タスクをフェーズごとに分け、ガントチャートで見える化する
  • 進行状況を定期的に共有できる体制をつくる
  • 各フェーズで必要なフォーマット(現状調査表・改善策テンプレートなど)を用意しておく

こうした“進め方の仕組み”が整っているだけで、改善の歩みは一気に加速します。重要なのは、「誰が旗を振るか」ではなく、「旗が振り続けられる仕組みをつくること」です。

コンサルティングが果たせる役割

とはいえ、自社の限られたリソースの中で日常業務と並行して改善を進めるのは容易ではありません。「全体を整理し、一定のペースで引っ張ってくれる存在」がいないことが、停滞の大きな要因となっています。

そのような場合、外部の専門家を推進の仕組みの一部として活用することも有効です。
法務コンサルティングでは、

  • 現状業務の棚卸しと課題の可視化
  • 改善ロードマップの設計
  • タスク・スケジュール管理の伴走支援
    などを通じて、部門が動ける状態をつくることを支援します。

外部のサポートを「代理人」としてではなく、「推進を支える仕組み」として取り込むこと。
これこそが、法務改革を継続させるための実践的な解と言えるでしょう。

法務部の業務改善なら

法務改革が止まる理由は構想の甘さではなく、実行を支える仕組みの不足にあります。ツールやルールの前に、まずは「どう進めるか」というプロセス設計を整えること。それが、確実に前へ進むための第一歩です。

Strategy&Lawでは、戦略コンサルティングと弁護士実務の経験を持つメンバーによる法務部門の業務改善・DX推進を専門に支援しています。「構想はあるが進まない」「日常業務で手が回らない」といった課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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