法務のリソース不足、どう乗り越える?“減らす”と“高める”の考え方

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「法務のリソースは限られているのに、業務量は増える一方」

DXや新規事業への対応、グローバル取引の増加など、法務が求められる範囲は年々広がっており、多くの企業でこのような声を耳にします。

しかし、チームの人員を増やすことは、多くの企業にとって容易ではありません。限られた体制の中で、いかに進化する法務を実現できるか。鍵となるのは、「減らす」と「高める」を両輪で進める二段階の戦略です。

まず“減らす”──やらない仕事を定義する

業務改善というと「効率化」を思い浮かべがちですが、その前に必要なのは“やらないことを決める”ことです。
法務の仕事は、実は「やろうと思えばいくらでも増える」性質を持っています。
契約審査、社内相談、規程管理、トラブル対応、教育・啓発…。
全てを完璧にカバーしようとすれば、どれだけ人がいても足りません。

まず着手すべきは、業務の棚卸しと分類です。

  • 発生頻度が高く、付加価値の低い業務(例:定型契約のレビュー)
  • リスクが低く、判断を事業部に委ねられる業務
  • 形骸化したチェック・承認フロー

こうした業務を「減らす」対象として洗い出すことで、法務が本来担うべき付加価値の高い業務に集中できる環境が整います。

次に“高める”──残す仕事の質を上げる

不要な仕事を減らした後は、“残す仕事”の質をどう高めるかが問われます。
単にスピードを上げるのではなく、判断の一貫性と再現性を高める仕組みをつくることが重要です。

具体的には、

  • 契約書ひな形の整備と運用ルールの統一
  • 審査方針やリスク許容基準の明文化
  • 事業部への権限委譲と教育体制の構築
  • ナレッジ共有やFAQ整備による属人化の防止

こうした取り組みにより、「誰が対応しても一定の品質で判断できる状態」を目指します。
つまり、“スキルに依存する法務”から“仕組みで動く法務”への転換です。

全体最適の視点を持つ

「減らす」「高める」をそれぞれ単独で実行すると、かえって歪みが生じることもあります。
例えば、事業部への権限委譲を急ぎすぎれば、リスクコントロールが甘くなる可能性がありますし、逆に、審査基準を厳格にしすぎれば、業務が滞り現場が疲弊するかもしれません。

だからこそ、法務業務の改善は“全体最適”の視点で設計することが欠かせません。
自部門の効率化ではなく、会社全体としてリスクとスピードのバランスを最適化する―それが法務改革の本質です。

法務部が自走するための“外部の使い方”

「減らす」と「高める」を現実的に進めるには、冷静な現状把握と、部門を横断した視点が欠かせません。
しかし、日常業務に追われる法務部門だけで全体設計まで担うのは、現実的に難しい場面もあります。

そこで有効なのが、第三者の視点を取り入れるという考え方です。
外部支援として法務コンサルティングを活用することで、

  • 現状の棚卸しやボリューム分析を客観的に行える
  • 組織に合わせたロードマップを描きやすくなる
  • 部門横断の調整や進行管理をスムーズに進められる

といった効果が得られます。
つまり、法務コンサルティングを「改革を進める仕組みの一部」として組み込むことで、法務部が自走できる環境を整えることができます。

法務部の業務改善・効率化支援なら

Strategy&Lawでは、戦略コンサルティングと弁護士実務の経験を持つメンバーが在籍しており、法務部門の業務改善・DX推進を専門に支援しています。
「人を増やさずに業務を進化させたい」「現場が動ける仕組みを整えたい」といった課題をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。

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