「法務業務を主に担当している人」は何人? ─ フェルミ推定で全体像をつかむ

blog

このコラムでは、日本国内で「法務の仕事を主に担当している人」がどれくらいいるのかをフェルミ推定見積もります。実体の正解を示すものではなく、前提を置けば“答えのない数字”でも推定できるという頭の体操です。よろしければ一緒に考えてみませんか。

STEP1:前提

総務省の統計によれば、2024年の全国の就業者は6,781万人です。このうち企業内法務の母集団として適切になるよう、役員を除く雇用者に絞ると5,780万人となります。今回はこの5,780万人を母集団と置きます。

STEP2:業種別の法務比率を設定

法務にかかる負荷は業種によって増減し、それに伴い必要人員も変わります。

ここでは簡単に業種を以下の4区分と置き、全国の雇用に占める業種構成を仮置きします。

業種区分全体に占める割合(仮置き)
①規制が重い金融・保険・製薬・医療機器・電力/ガス/通信15%
②個人データ/消費者が多いプラットフォーム・EC・小売・人材・メディア25%
③標準的なBtoB一般製造・法人向けIT/SaaS・非規制の卸/商社50%
④取引が単純ローカルサービス・定型委託・小規模B2C10%

続いて、業種区分ごとに1,000人あたりの法務人数を仮置きします。

業種区分1,000人あたりの法務人員比率(仮置き)
①規制が重い3.5人(0.35%)
②個人データ/消費者が多い2.5人(0.25%)
③標準的なBtoB2.0人(0.20%)
④取引が単純1.5人(0.15%)

これらを計算すると、業種ベース平均は3.5×15%(①規制が重い)+2.5×25%(②個人データ/消費者が多い)+2.0×50%(③標準的なBtoB)+1.5×10%(④取引が単純)=2.3人/1,000人(=0.23%)になります。

STEP2:企業規模を反映

必要な法務人員は、業種だけでなく企業規模によっても増減します。そこで、従業員帯ごとに規模係数を設定し、企業規模による増減を反映できるようにします。また、従業員帯ごとの規模構成も仮置きします。

従業員帯規模係数(仮置き)全体に占める割合(仮置き)
50〜299人0.9540%
300〜2,999人1.0030%
3,000〜9,999人1.0820%
10,000人以上1.1810%

これらを計算すると、平均係数は0.95×0.40(従業員帯50~299人) + 1.00×0.30(従業員帯300~2,999人) + 1.08×0.20(従業員帯3,000~9,999人) + 1.18×0.10(従業員帯10,000人以上)=1.014となります。

STEP3:係数を用いて算出

最後に、これまでの前提を踏まえて計算し、推定法務人数を算出します。

雇用者総数5,780万人×業種別法務比率平均0.23%×規模係数平均1.014= 134,801人

約13.5万人という結果になりました。

法務として働くみなさまのために

今回の推定では、日本で「法務業務を主に担当している人」は約13.5万人いう結論になりました。実態ではなくあくまで頭の体操として算出した数字ではありますが、毎日現場で契約や法務相談を担っている大きなコミュニティの規模とも言えます。

Strategy&Lawは、その一人ひとりが働きやすく、成果を出しやすい環境づくりに貢献したいと考えています。無駄な待ち時間を減らし、迷いを減らし、探しやすくする。そうした業務改善を通じて、法務の価値がもっと伝わる状態を一緒に作っていきます。 体制の見直しや進め方の検討が必要な際は、状況に合わせてご提案します。まずはどうぞお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

関連記事