システム開発・EC連携の契約で揉めないために ── 成果物の権利とデータの扱いの決め方

本業とは別にECサイトや業務システムを立ち上げるとき、多くの企業は開発会社に開発を委託します。ところが、開発の途中や完成後に「ソースコードは誰のものか」「不具合はいつまで直してもらえるのか」「顧客データを連携先が使ってよいのか」といった点で認識が食い違い、トラブルになることがあります。

本記事では、システム開発やEC連携の契約で、発注側の企業が押さえておきたいポイントを整理します。

1. 契約の形を決める:請負か、準委任か

システム開発の契約は、大きく請負(完成した成果物に対して報酬を支払う)と準委任(作業の遂行に対して報酬を支払う)に分かれます。要件定義のように何を作るかが固まっていない段階は準委任、作るものが決まった開発工程は請負とするなど、工程ごとに契約を分ける方法もよく使われます。

なお、2020年に施行された改正民法では、準委任でも「成果の完成」に対して報酬を支払う形が明文化されました。どちらの形をとるかで、完成の義務や報酬の支払時期が変わるため、契約書の表題だけでなく中身を確認することが大切です。

2. 成果物の権利:誰のものになるか

開発されたプログラムの著作権は、契約で定めなければ、原則として開発した側に残ります。発注側が自由に改修や再利用をしたい場合は、権利の譲渡や利用許諾の範囲を契約で明確にしておく必要があります。

  • 権利を譲り受ける場合も、開発会社がもともと持っている汎用的な部品やライブラリは除かれるのが一般的です。
  • 著作権を譲り受ける契約では、翻案などに関する権利も譲渡の対象であることを明記しておかないと、開発会社に残ると推定される点に注意が必要です。
  • オープンソースソフトウェアを使う場合は、そのライセンス条件に従う必要があります。

3. 検収と不具合への対応

納品されたシステムをどのように確認し、いつ「完成」とみなすのか(検収)を決めておきます。検収の期間や合格の基準があいまいだと、支払いの時期をめぐって争いになりがちです。

完成後に見つかった不具合については、改正民法の「契約不適合責任」の考え方にもとづき、修補の請求や代金の減額などが問題になります。不具合を知ってから通知すべき期間や、無償で直してもらえる範囲を、契約で具体的に定めておくと安心です。

4. データ連携の契約で確認したいこと

ECサイトと在庫管理、決済、配送などのサービスを連携させる場合、契約書や利用規約で次の点を確認します。

  • データの利用目的:連携先が受け取ったデータを、自社のサービス改善など別の目的に使ってよいことになっていないか
  • 個人情報の扱い:顧客の個人データを渡す場合、委託として扱うのか、第三者提供にあたるのか
  • 障害時の責任:システムが止まった場合の連絡体制や、損害賠償の範囲・上限
  • 契約終了時のデータ:連携をやめるときに、データを返してもらえるか、削除してもらえるか

5. 開発会社のひな形をそのまま使わない

開発会社から提示された契約書は、当然ながら開発会社にとって都合のよい内容になっていることがあります。経済産業省やIPA(情報処理推進機構)が公表しているモデル契約も参考にしながら、少なくとも権利の帰属、検収、不具合対応、責任の上限は確認しておくことをお勧めします。

まとめ

システム開発やEC連携の契約は、技術の話と法律の話が入り混じるため、後回しにされがちです。しかし、成果物の権利とデータの扱いを最初に決めておくことで、開発後のトラブルや、事業を広げるときの足かせを防ぐことができます。

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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の案件についての法的な助言ではありません。個別の事情については専門家にご相談ください。

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