法務部のない中堅企業では、管理部長が総務・経理・人事と兼務しながら、契約書のチェックまで一人で担っていることが少なくありません。最近は生成AIを自分で使いながら、なんとか年間数百件の契約書をさばいている、という方も増えています。
ただ、その方が休んだり辞めたりした途端に、契約業務が止まってしまう状態は、会社にとって大きなリスクです。本記事では、一人で抱えている契約業務を、生成AIと外部委託を組み合わせて「1営業日」で回る体制に変えていく考え方を紹介します。
一人で回している体制の3つの限界
- 量の限界:事業が伸びるほど契約書は増えますが、一人で処理できる量には上限があります。
- 判断の属人化:「この条項はどこまで受け入れてよいか」という判断が、その方の頭の中にしかありません。
- AIの使い方の属人化:個人の工夫で生成AIを使っている場合、どの情報を入力してよいかなどのルールがなく、引き継ぎもできません。
ステップ1:契約書を3つに仕分ける
まず、この1年に扱った契約書を、ざっくりと次の3つに分けてみます。
- 定型:自社のひな形どおりに結ぶもの、NDAなど内容がほぼ決まっているもの
- 準定型:相手方の修正が入るが、論点がだいたい決まっているもの
- 要検討:新しい取引、金額が大きい取引、相手方のひな形で結ぶもの
多くの企業では、件数の大半が「定型」と「準定型」で占められています。ここを効率化できれば、管理部長が自分で時間をかけるべき「要検討」の案件に集中できるようになります。
ステップ2:判断基準を書き出し、生成AIに一次チェックを任せる
準定型の契約書では、相手方からよく出る修正要望と、それに対する自社の方針(受け入れる/条件付きで受け入れる/受け入れない)を一覧にします。これが判断基準(プレイブック)です。
判断基準があれば、生成AIに「この方針に照らして、受け入れられない修正はどれか」を一次チェックさせることができます。AIの出力はあくまで参考として、最終的な判断は人が行います。あわせて、入力してよい情報の範囲や、学習に利用されない法人向けサービスを使うことなど、社内のAI利用ルールを決めておきます。
ステップ3:あふれた分と専門的な案件を外に出す
仕分けと一次チェックで効率化しても、繁忙期には処理しきれないことがあります。そうしたときに、外部の専門家に「原則1営業日以内に回答してもらえる」体制を用意しておくと、契約書の確認待ちで取引が止まることを防げます。
外部に委託する際は、次の点を確認しておくと運用がスムーズです。
- どの類型の契約書を任せるか(例:定型・準定型は外部、要検討は社内で最終判断)
- 回答までの期限と、急ぎの場合の連絡方法
- 月の件数と費用(定額か、件数ごとか)
- 秘密保持とAIの利用に関する取り決め
ステップ4:記録を残し、仕組みを育てる
いつ、どの部署から、どの類型の契約書が来て、どれくらい時間がかかったかを簡単に記録しておくと、判断基準の見直しや、人員・外注の計画を立てる根拠になります。一人で抱えていた業務が「仕組み」として残るので、担当者が替わっても回り続けます。
まとめ
管理部長が一人で契約業務を抱えている状態は、本人の努力で支えられている分、限界が見えにくいものです。契約書の仕分け、判断基準の言語化、生成AIによる一次チェック、外部委託の組み合わせで、属人化を解きながら処理能力を高めることができます。
弊社では、契約書の作成・審査支援を原則1営業日以内に回答する体制でお引き受けしているほか、判断基準の整備や生成AIの導入など、法務業務の仕組みづくりもご支援しています。
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※ 本記事は一般的な情報の提供を目的としたもので、個別の案件についての法的な助言ではありません。