法務を外に頼む方法は、大きく5つあります。法務担当者の採用、顧問弁護士、法務人材の派遣、ALSP(月額制の法務アウトソーシング)、AI契約レビューツールです。この記事では、それぞれの費用の目安、任せられる範囲、スピードを並べ、自社に合うものを選ぶための考え方をまとめます。
この記事は、ALSPを提供している株式会社Strategy&Lawが書いています。自社のサービスに向かないケースも含めて、できるだけ公平に書くことを心がけています。
選ぶ前に確かめる3つの問い
どの方法が合うかは、次の3つでほぼ決まります。
- 争いごとがあるか:取引先と揉めている、請求を受けている、訴訟になりそうだ、という案件は弁護士でなければ対応できません。日々の契約書チェックが中心なら、選択肢は広がります。
- 月に何件あるか:契約書の確認が月に数件なのか、数十件あるのかで、外注が割安か、採用が割安かが変わります。
- 社内で最終判断できる人がいるか:指摘を受けて「ここは受け入れる、ここは交渉する」と決められる人がいれば、AIツールや派遣でも回ります。いなければ、判断まで寄り添う外部の人が必要です。
5つの選択肢を比べる
月額の目安だけを見ると、顧問弁護士・ALSP・AIツールはいずれも月数万円〜十数万円の範囲にあり、大きな差はありません。違いが出るのは、任せられる範囲と、対応できる件数です。採用は費用が最も大きい一方で、任せられる範囲も最も広くなります。金額は2026年10月時点の公開情報にもとづく目安で、実際は各社の条件で変わります。
| 選択肢 | 費用の目安 | 任せられる範囲 | 回答のスピード | 向いている会社 |
|---|---|---|---|---|
| 法務担当者の採用 | 求人ベースの想定年収で約540万〜990万円(年代・役職による)。このほか社会保険料と採用費 | 社内事情を踏まえた法務全般。紛争は弁護士と連携 | 社内にいるので最も早い | 契約が月数十件以上あり、法務を組織として育てたい |
| 顧問弁護士 | 月額3万〜10万円程度が中心(中小企業では5万〜10万円が多いという調査あり)。訴訟などは別料金 | 法律相談、契約書の確認、交渉、紛争・訴訟まで | 事務所により異なる | 紛争の可能性がある、法的判断の拠り所がほしい |
| 法務人材の派遣 | 時給3,000円台から。専門性が高い人材は5,000円以上 | 形式チェック、文言の比較、契約管理などの補助。最終的な判断は社内で行う前提 | 常駐中は早い | 社内に判断できる人がいて、手が足りない |
| ALSP(月額制の法務アウトソーシング) | 月数万〜十数万円(件数と範囲による) | 紛争性のない契約書の確認、ひな形、規程、法令調査。紛争や交渉は対象外 | 回答期限を決めていることが多い | 契約が月数件〜十数件で、法務担当者がいない |
| AI契約レビューツール | 月額4万円程度から(機能と利用人数で変動) | 条項の抜け漏れや不利な条項の指摘。受け入れるかの判断は人が行う | その場で結果が出る | 社内に判断できる人がいて、件数が多い |
それぞれの特徴と注意点
法務担当者の採用
事業や取引先の事情を一番よく分かった人が、社内ですぐに動けるのが強みです。一方で、経験者の採用は競争が激しく、一人法務では休暇や退職のときに業務が止まります。契約が少ないうちに採用すると、人件費に対して仕事が足りなくなります。
顧問弁護士
紛争や訴訟まで一貫して頼めるのは弁護士だけです。顧問料に含まれる範囲は事務所によって異なり、契約書の作成や件数が多い場合は別料金とする事務所もあります。回答までの日数とあわせて、契約前に確かめておきましょう。
法務人材の派遣
法務の実務に慣れた人に、必要な期間だけ来てもらえます。派遣社員は派遣先の指示のもとで働くため、契約条件を受け入れるかどうかといった最終的な判断は、社内の担当者が行う前提です。判断する人が社内にいる会社に向いています。
ALSP(月額制の法務アウトソーシング)
決まった月額で、日々の契約書確認やひな形の整備を任せられます。件数と回答期限が決まっているので、費用とスピードが読みやすいのが特徴です。一方、紛争や相手方との交渉は弁護士の仕事なので対象外です。提供元によって弁護士の関わり方が違うので、誰が最終確認するかを確かめてください(弊社の考え方は「契約書チェックと弁護士法」でご説明しています)。
AI契約レビューツール
契約書を読み込むと、抜けている条項や自社に不利な条項をすぐに指摘してくれます。ただ、指摘を受けて「この条項の修正を求めるか、受け入れるか」を決めるのは人です。判断できる人がいない会社では、指摘が届いてもそこで止まってしまいます。
会社の状況別の選び方
先ほどの3つの問いを順にたどると、向いている選択肢が絞れます。
- 争いごとがある → 弁護士(顧問弁護士、またはその案件だけ依頼)
- 争いごとはなく、契約が月に数十件以上 → 法務担当者の採用(採用までの間は、派遣やAIツールで補う)
- 争いごとはなく、契約が年に数件 → 必要なときだけ弁護士にスポットで依頼
- 契約が月に数件〜十数件で、社内に判断できる人がいる → AIツールや派遣で、担当者の手を増やす
- 契約が月に数件〜十数件で、社内に判断できる人がいない → ALSP
実際には組み合わせる会社も多くあります。たとえば、日々の契約書はALSPに任せ、紛争になりそうなときだけ顧問弁護士に相談する、という分け方です。件数が増えてきたら、採用へ切り替える時期を考えましょう。
ALSPが向かないケース
私たち自身ALSPを提供していますが、次のような場合は別の方法をおすすめします。
- すでに争いになっている:未払いの請求、契約解除をめぐる揉めごと、訴訟の可能性がある案件は、弁護士に直接依頼してください。
- 相手方との交渉を代わってほしい:会社の代理人として交渉できるのは弁護士です。
- 契約書が月に数十件以上ある:件数制の外注より、法務担当者を採用した方が割安になりやすく、社内に知識も貯まります。
- 年に数件しか契約がない:月額制だと割高になります。必要なときだけ弁護士にスポットで頼む方が合います。
- 社内に判断できる法務担当者がいて、手が足りないだけ:AIツールや派遣で担当者の手を増やす方が効率的な場合があります。
外注先を選ぶときのチェックリスト
どの方法でも、契約前に次の項目を確かめておくと、始めてからの「こんなはずではなかった」を防げます。
- 誰が最終確認するか(弁護士か、法務経験者か、AIのみか)
- 月額に含まれる件数と、超えたときの料金
- 英文契約や長い契約書の扱い
- 回答までの日数と、急ぎのときの対応
- 紛争になりそうなとき、どこに引き継ぐか
- 秘密保持の取り決めと、預けた契約書の保管・削除の方法
- AIを使う場合、入力した内容がAIの学習に使われないか
- 解約やプラン変更の条件(何か月前に申し出るか)
- お試しや初回無料の条件
Strategy&LawのALSPについて
契約書が月に数件〜十数件あり、社内に法務担当者がいない会社に向けて、月額定額の法務アウトソーシングを提供しています。
- 紛争性のない契約書の作成・審査の支援、ひな形の整備、規程の策定、法令調査
- 回答は原則1営業日以内。契約書はメールに添付して送るだけ
- 料金は月額5万円(月3件まで、税別)から。初回1件は無料でお試しいただけます(1社1回、日本語3ページ以内)
- 紛争になりそうな場合は支援を止め、弁護士へのご相談をご案内します
弁護士資格を持つ代表が、すべての契約書を自ら確認します。代表は、企業法務の法律事務所、上場企業の執行役員(M&A・法務担当)・経営企画部長、戦略コンサルタントを経験しています。法律の指摘だけでなく、「取引を前に進めるにはどう書くか」という経営の目線でお返しします。契約業務の見直しや生成AIの導入も、法務AX・生成AI活用支援としてご支援しています。
詳しくは契約書チェック・法務アウトソーシングのページをご覧ください。
運営:株式会社Strategy&Law(代表取締役 金光啓祐)
出典
- 法務求人の想定年収調査 2025(JMSC)
- 顧問弁護士の費用はいくら?(咲くやこの花法律事務所)
- 法務に強い派遣会社5社(ビースタイル)
- 契約書レビューのランキング(PRONIアイミツ)